北里大学の関連医療機関である北里研究所病院の形成外科・美容外科部長を任される佐藤英明医師。その技術力と経験は他の美容外科医からも高く評価されている。豊富な専門医資格を有する佐藤医師(自由が丘クリニック)に眼瞼下垂を解説していただきます。
加齢にともなう身体的機能低下は避けられない。眼瞼下垂は誰にでも起こりえる
Q.眼瞼下垂(がんけんかすい)はどのような原因で起こるのでしょうか
眼瞼下垂というのは、ある程度年齢を重ねると避けることが出来ない症状だと考えています。そもそもずっと昔、人間は50年~60年ほどの寿命でした。身体的な機能というのは、それくらいの年数を目途に衰えていくことは致し方ないのではないかと考えられます。

眼瞼下垂は、瞼(まぶた)を引き上げるために必要となる挙筋腱膜(きょきんけんまく)の機能が低下することによって起きる症状です。具体的には、挙筋腱膜が伸びてしまったり、剥がれてしまったりすることで、十分に機能しなくなる状態のことです。挙筋腱膜は、瞼板(けんばん)と眼瞼挙筋(がんけんきょきん)を繋ぐ役割をしているので、この部分が十分に機能しなくなると、瞼が下がってしまったり、上げにくくなったりするわけです。こういった眼瞼下垂を「腱膜性眼瞼下垂」と呼びます。他にも、眼窩脂肪(がんかしぼう)が後退してしまっていることが原因というケースもありますので、まずは症状を引き起こしている原因を正しく判断し対処することが重要です。

Q.眼瞼下垂は加齢に伴う症状だと考えていいのでしょうか
いいえ、昨今は若い方の眼瞼下垂も増えているように思います。原因としては、ハードコンタクトレンズの日常的な使用や、花粉症などによって目を強くこするといったことが影響していると考えられます。このように瞼に強い負担をかける機会が多いと、先に挙げたように腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)を引き起こす可能性があります。
また、もともと挙筋腱膜が長かったり、機能が弱かったりする「先天性眼瞼下垂」もあります。生まれつき目が開きにくかったりする場合は、先天性眼瞼下垂が考えられます。
外見上の問題だけにとどまらない眼瞼下垂の危険性とは
Q.眼瞼下垂になるとどのような問題があるのでしょうか
「目つきが悪く見られる」「昔のようなキレイな二重じゃなくなってしまった」など、やはり見た目の問題は大きいと思います。特に目というのは本人も周りもよく見ている場所なので、変化に対して敏感です。目が本来自分の望んでいるデザインと異なるというのは精神的にも負担は少なくないと思います。

また、症状が重度になると視野が悪くなり、「頭痛」や「肩こり」などの健康上の問題が生じることもあります。最悪の場合、不眠や鬱を誘発する可能性もありますので、放置せずに早めに治療することをお勧めします。
Q.眼瞼下垂手術の方法について教えてください
先にお伝えした通り、眼瞼下垂の主な原因は挙筋腱膜が伸びていたり、剥離したりしているということです。これを治療するために、挙筋腱膜を短くする、もしくは腱膜をあるべき場所に固定するなどの方法があります。

具体的な手術の方法としては、まず瞼の一部を切開して問題の起こっている挙筋腱膜を引き出します。引き出した挙筋腱膜を、しっかりと張りを回復した状態で瞼板に縫い留めます。こうすることで挙筋腱膜を再び十分に機能させることが可能となります。このような手術方法は「挙筋腱膜前転法(挙筋前転法)」と呼ばれています。また、結果的に挙筋腱膜が短くなりますので「挙筋短縮法」や「眼瞼挙筋短縮法」などと呼ばれることもあります。
繊細な部位だからこそ細やかな手技と確かな知識が求められる
Q.手術のポイントや難しさはどういったところでしょうか
瞼というのはとても薄い部分です。その中に筋肉や脂肪、腱などが存在しており、そのすぐ下には眼球があります。眼瞼下垂の手術というのは、このような細やかな個所を調整する手術になります。この為、当然ながら医師は解剖学を熟知し、必要となる細やかな手術を正確に行う技術が求められます。実際に、十分な知識と技術を伴わない医師による手術の失敗はありますし、そういったケースの修正手術を行ったこともあります。医師であれば誰でも上手く出来る手術ではないということを知っておいていただきたいと思います。

もう一つ、個人的に大切にしているポイントがあります。それは、美容外科医だからこそ、術後の見た目やデザインにも満足してもらえる手術を目指すということです。眼科や一般の形成外科であれば、機能回復が手術の目的となりますが、美容外科はそれだけでは十分ではありません。機能を回復させることは大前提に、しっかりと患者さんの希望に添った二重、目元のデザインになるよう最大限の配慮をしています。
Q眼瞼下垂手術を受けるにあたって患者さんに知っておくべきことはありますか
眼瞼下垂の手術を含め、瞼の手術を行うと、良くも悪くも顔のイメージが大きく変わる可能性があります。症状の程度にもよりますが、症状が重度である程、手術前と手術後の印象は変わります。もちろん、本来はしっかりと見開いた目の方が機能的にも審美的にも良い状態ではあると考えられますが、それでも、「変わる」ということ自体に抵抗を感じる可能性はあります。症状が重い方ほど、あらかじめこの点は認識していただいた方が良いかと思います。

どうしても印象を大きく変えたくない方や、もともと一重瞼で、手術によって二重になるのが嫌な方の場合は、「眉下切開(上眼瞼リフト)」を検討してみてもいいと思います。眼瞼下垂の根本的な解決ではないものの、ある程度まで目の開きを改善することは可能です。そういった判断を本人で行うことは難しいと思いますので、ぜひ医師にご相談ください。
編集後記
数々の専門医資格を取得し、大学の関連医療機関で形成外科・美容外科部長も務める佐藤先生。アカデミックな知識(理論)と、臨床現場での豊富な経験(実践)に裏打ちされたその解説は、医療に関して素人な私にもとても分かりやすい内容でした。眼瞼下垂治療をお考えの際にはぜひ一度ご相談したい先生です。
自由が丘クリニック
20年以上の歴史を誇る日本有数の美容外科クリニック。医大教授を務める医師のほか、美容外科・形成外科・美容皮膚科の専門医が多数在籍。一流の医師たちによるチーム医療が特徴です。ビューティーアワード2015受賞クリニック。
佐藤英明 医師
1990年 北里大学医学部卒業
1991年 北里大学形成外科入局
     日比谷病院形成外科
     横浜市民病院外科
     北里大学病院麻酔科・救命救急センターなどで研修
1995年 横浜南共済病院形成外科
1996年 佐久総合病院形成外科
1997年 いちだクリニック 美容外科
1999年 日本形成外科学会専門医取得
2001年 北里研究所病院 美容医学センター医長
2002年 自由が丘クリニック 美容外科・形成外科
2007年 北里研究所病院 形成外科・美容外科部長
    美容医学センター長
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